やる気のない受験生が増えてきた理由はいろいろと考えられますが、最大の理由は、目的意識の低下です。何のために大学進学するのか、がはっきりしていないのです。別の見方をすれば、人生を考える力が衰えてきているともいえます。予備校などにとって、これら受験生の勉強意欲をどう駆り立てるか、難しい課題になっています。それは、家庭においても例外ではないでしょう。一つの解決策は、勉強の意欲がない子には、春休みの間に、小中学校のときに読んだ偉人伝や政界、財界、芸術界などで、トップリーダーとなった人たちの評伝を読ませることです。偉人やリーダーとなった人の足跡をたどることで、将来の自分を見出す場合が多々あるからです。評伝などから刺激を受けることで、将来は法律関係の仕事に就きたい、医療関係に進みたい、エンジニアになりたいといった漠然とした夢が膨らみ、勉強の意欲が湧いてくるものです。抱いた夢を実現させるために、情報を収集し、その結果、志望すべき大学も明確になり、勉学の意欲も高まり、成績が芳しくないのは努力が足りなかっただけと悟るはずです。
五年生の三学期、あるいは六年生になってから受験勉強をスタートしたなどで、まだ勉強していない分野が残っている場合には、この夏休み中に一とおり全範囲を学習し終えることを目標にします。夏期講習のコースが幾つもある場合は、最もやさしいコースを選ぶ必要があります。そうでないと、習っていない分野の授業はまったく「お客さん」になってしまいます。夏期講習のテキストが事前に手に入っている場合は、お子さんと一緒に開いて、すでに習ったところ、まだ習っていないところを(お子さんがよくわからないというところも含め)チェックします。習っていないところ、よく理解できていないところについては、夏期講習でやる前に一緒に予習するようにしたいものです。放っておいて講習に行かせても、夏期講習はふだんの授業よりずっとスピードが速いので、子どもは理解不能のままで終わる心配があります。受験勉強のスタートが遅かった場合には、手助けしてでもこの夏休み中に全範囲の学習を終えるようにしてください。
まったく意味のない10桁の数字を憶える。何日かすれば忘れてしまうが、もう一度憶えようとしたときに、1ヵ月以内であれば前に憶えるのにかかった時間より短時間で憶えられるそうだ。ところが1ヵ月以上経つと、最初に憶えたのと同じだけの時間が必要になる。これは、―力月以内であれば記憶の痕跡が残っているということだ。頻繁にかける電話番号を憶えられるのも、こういう仕組みである。単純記憶に関しては1ヵ月以内に復習するといい。1ヵ月以上時間を空けるとせっかく憶えたことが無駄になってしまう。復習するときには、音読したりノートに書き出してみたりすることを勧める。教科書を読んでいるだけでは視覚のみに頼る記憶だが、音読は聴覚、書くことは視覚と指先の触覚を働かせる。五感を活用することで記憶はより確かなものになる。パソコンの普及で現代人は文字を書く機会が減っているが、社会人になってからも物を憶えるときはメモを取ることを心がけたい。